ASEAN最新流通・物流視察研修会レポート
2024年7月23日から26日にかけて、スマイルライン株式会社を代表して、私はASEAN最新流通・物流視察研修会に参加しました。この研修は、マレーシア、シンガポール、インドネシアの3カ国を訪れ、急速に成長する東南アジア市場における流通・物流インフラと小売業の現状を深く理解する貴重な機会となりました。デジタル化、AIの活用、そして各地域特有のビジネス文化に触れることで、今後のビジネス戦略を見つめ直すきっかけとなりました。
○マレーシア視察
7月23日、私たちはまずマレーシアのPKT ロジスティックを訪れました。特に印象深かったのは、地上高12mの7段積み固定ラックからの荷役作業です。地震の少ないマレーシアならではの高所作業が行われており、ハイマストリフトを操作するリフトマンの卓越した技術に感銘を受けました。彼らの正確で迅速な作業は、効率的な物流運営に不可欠であり、私たちも多くを学びました。
その後、午後にはマレーシアの大手スーパーマーケットチェーン「ジャイアント」の倉庫を視察しました。この倉庫は、かつての日本の倉庫を思い起こさせる環境で、ヘルメットを着用せずにリフト作業が行われていることに驚かされました。安全面について質問をしたところ、15年間で労災が3件のみという結果にはさらに驚き、その高い安全品質と徹底した管理体制に感銘を受けました。
○シンガポール視察
7月24日、クアラルンプールからシンガポールに移動し、東南アジアで最も発展した都市の一つであるシンガポールの主要ショッピングモールを視察しました。モール内には、日常生活用品を取り扱う「アルファマート」、生鮮食品や雑貨に特化した「アルファミニ」、そして美容意識の高い消費者をターゲットにした「DANDAN」など、多様な店舗が展開されていました。これらの店舗は、日本の経営手法を取り入れ、現地のニーズに合わせた戦略を採用しており、消費者に高い満足度を提供していることがわかりました。
その後、シンガポール小売業協会主催のセミナーに参加し、現地市場におけるデジタル化の進展とその重要性を学びました。モバイル決済やオンラインショッピングの普及が急速に進む中で、顧客のニーズに迅速かつ柔軟に対応することが、成功への鍵であると認識しました。
○インドネシア視察
7月25日、ジャカルタに到着し、最初に訪れたのはインドネシアのAEON MALLです。広大な敷地に多様な店舗が立ち並び、消費者の購買意欲を刺激するための魅力的な陳列やサービスが展開されていました。特に、高級志向の商品ラインナップが、現地の富裕層や中間層の消費者に強く訴求していることが確認できました。
その後、インドネシア全土に22,000店舗を展開するミニスーパー「アルファマート」の本社を訪問し、同社の成長戦略について詳細なレクチャーを受けました。モバイルアプリを活用したロイヤリティプログラムや、オンラインショッピングとの連携を通じて、顧客体験を向上させる取り組みは、急速に変化する市場において競争力を維持するための重要な手段であることが分かりました。
また、その後に視察したIndomaret物流センターでは、24時間365日稼働する効率的な在庫管理と配送プロセスにより、インドネシア全土への迅速な商品供給を実現している様子を学びました。物流インフラの整備が今後の課題である一方、最新の技術を導入し、今後の発展に向けた基盤を築いていることに感銘を受けました。
○日本大使館訪問とLuLu Group講演会
7月26日には、ジャカルタの日本大使館を表敬訪問し、インドネシアにおける日本企業の展開に関する講話を受けました。首都移転や新政権による政策の変化が経済に与える影響についても言及され、現地の文化やビジネス慣習を理解し、強力な協力関係を築くことが、日本企業が成功するために不可欠であると再認識しました。
その後、東南アジアや中東で急成長を遂げているLuLu Groupの講演会に参加しました。同社の成功は、地域に密着したビジネス展開と、消費者ニーズに応じた柔軟な商品戦略によるものであり、日本企業にとっても多くの示唆を得ることができました。
○結論と所感
今回のASEAN最新流通・物流視察研修会を通じて、東南アジア市場の多様性と成長のポテンシャルを強く実感しました。特に、インドネシアの若年層の人口構造と経済成長がもたらすビジネスチャンスには、計り知れない可能性があると感じています。また、シンガポールやマレーシアでの視察を通じて、日本企業が現地市場に適応し、競争力を維持するための具体的な示唆を多く得ることができました。
スマイルライン株式会社として、これらの学びを活かし、多くの方々に喜んで頂けるよう、努力精進して参ります。